2009-08-30

米高級ホテル、五つ星返上へ 宿泊料下げ優先



ホテル業界で最も業績不振が目立つ高級ホテルチェーンが、苦労して手にした「星」を返上することを検討している。手元資金の確保が狙いだ。
セントレジス・ホテルやダブリュー・ホテルなどの高級ホテルを展開する米スターウッド・ホテル&リゾートの広報担当者は、ホテル業界が回復基調に乗るまで、サービスの水準を落とすつもりであることを明らかにした。これは同ホテルが星を返上することを意味する。

2007年のブラックストーン・グループによる買収で米ヒルトンのCEO(最高経営責任者)を退任したスティーブン・ボーレンバック氏は「星を維持するには、莫大(ばくだい)な資本投下が必要になる。しかし星の数が多いからといって、良いリターンが得られるわけではない」と述べた。

リセッション(景気後退)の影響で家庭のレジャー費や企業の出張費が削減される中、高級ホテルチェーンは宿泊料の値下げを実施するなど、顧客の呼び込みに必死だ。スミス・トラベル・リサーチによると、世界の高級ホテルの客室利用率は7月までの1年間で、前年同期の71%から57%に低下した。また全世界の最高級ホテルの1日当たりの平均宿泊料は16%低下し、245.13ドル(約2万3000円)となったことも明らかになった。中級ホテルは13%減の87.12ドルだった。 

宿泊料の値下がりはサービスの縮小を意味する。ウエルカムサービスや客室の花、新聞の無料配布、24時間のルームサービスといった特典の一部が廃止される可能性がある。

スミス・トラベル・リサーチのバイス・プレジデント、ジェフ・ヒングリー氏は「高級ホテルのほとんどが客室利用率の低下に直面し、宿泊料の値下げに踏み切っている。高級ホテルに宿泊するのに今ほどお得な時はない」と話した。

米国では全米自動車協会やエクソン・モービルなどが旅行ガイドブックを出版。そのなかで、独自の基準に基づいたホテルの格付けを行っている。

モービル・トラベルガイドによれば、最高格付けの5つ星を獲得するには、ホテルは「際立って特徴的な環境を用意し、お客さまひとりひとりに合った最高級のサービスを常に提供」しなければならない。ウエルカムサービスはもちろんのこと、清掃の後は枕に「注目に値する、気の利いたもの」を置く必要がある。またアイスペールはガラス、金属、陶器のいずれかでできていて、それにトングが添えられていなければならない。

他にも、ルームサービスでグラスワインが注文された場合は、客の目の前でボトルから注がなければならない、プールでは客をデッキチェアまで案内し、ドリンクを出さなければならないなどの基準が設けられている。

セントルイスのリッツ・カールトンやトロントのフォーシーズンズなどを所有する投資会社マリッツ・ウォルフの共同会長、ルイス・ウォルフ氏は「客をうっとりさせてきた高級ホテルのサービスの多くは、もっとあっさりしたものに縮小することができる」とし「五つ星ホテルが四つ星に格下げされれば、利用者はむしろ喜ぶのではないか」と話した。

ヒルトンは今年、ウィーンのヒルトン・プラザに与えられた五つ星の格付けを放棄する決断を下した。同社の広報担当者は、国によって格付けの基準が異なることが一部影響していると述べている。

PKFホスピタリティ・リサーチのマーク・ウッドワース社長は「五つ星の維持では収益は上がらないとの判断から、ホテルが自らのランクを下げることは珍しくない。今後6カ月で、最高級ホテルの宿泊料金が引き下げられる可能性が高い」と指摘した。

英インターコンチネンタルもウィーンのホテルの五つ星を維持しないとの決断を下したことを発表している。同社はウィーンの他にアムステルダムや香港、カンヌなどで五つ星ホテルを運営しているが、同社の広報担当者はこれらホテルの格付け維持についてはコメントを控えた。

同社のコスレットCEOは11日に行われたインタビューで、主たる収益源であるビジネス客の利用が回復するまで、すべてのホテルでコスト削減の努力を続けると話した。「ビュッフェに出す料理の量を減らしたり、プールの温度を1、2度下げたりといった小さな節約でも効果がある」

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